11月 28

さくらのクラウドでプライベートテンプレートから仮想サーバーを起動させると、こういうことが起ります。

[root@sakura ~]# ping google.com
ping: unknown host google.com

(コントロールパネルのコンソールから実行)

普通に外部(インターネット)と通信ができません。

AWS EC2やRackspace Cloudではテンプレートから新しくインスタンスを立ち上げた場合は、ネットワーク設定周りを自動的に調整してくれて、起動直後からインターネットにつながります。
逆に言うと、さくらのクラウドは純粋な仮想サーバーと考えると扱いやすくなります。

これは、クラウドのシステムから仮想サーバーに割り振られたグローバルIPアドレスと起動したサーバーのネットワークの設定がずれているのが原因です。

対処法手順

まずは、コントロールパネル > サーバー > 詳細情報で、割り振られているIPアドレスなどネットワークアドレス情報、Macアドレスを確認して、OSのネットワーク設定を変更します。

ネットワークの設定
(クリックで拡大)

以下の例は、RedHat系Linuxの場合で、割り振られたIPv4アドレスが「133.242.xxx.xxx」、ゲートウェイが「133.242.xxx.1」、eth0のMacアドレスが「9c:a3:ba:xx:xx:xx」だったとします。

NICの設定ファイル

ネットワークインターフェースの設定を書き換えます。

[root@sakura ~]# vi /etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-eth0 

× NG

DEVICE=eth0
BOOTPROTO=none
HWADDR=9c:a3:ba:yy:yy:yy
NM_CONTROLLED=yes
ONBOOT=yes
TYPE=Ethernet
NETMASK=255.255.255.0
BROADCAST=133.242.yyy.255
IPADDR=133.242.yyy.zzz
NETWORK=133.242.yyy.0
GATEWAY=133.242.yyy.1
IPV6INIT=no
USERCTL=no

◯ OK

DEVICE=eth0
BOOTPROTO=none
HWADDR=9c:a3:ba:xx:xx:xx
NM_CONTROLLED=yes
ONBOOT=yes
TYPE=Ethernet
NETMASK=255.255.255.0
BROADCAST=133.242.xxx.255
IPADDR=133.242.xxx.xxx
NETWORK=133.242.xxx.0
GATEWAY=133.242.xxx.1
IPV6INIT=no
USERCTL=no

udevルールファイル

Macアドレスも変更されている(OS的にはハードウェアが新しくなったと認識している)ので、udevルールファイルも書き換える必要があります。

[root@sakura ~]# vi /etc/udev/rules.d/70-persistent-net.rules 

× NG

# PCI device 0x8086:0x100e (e1000) (custom name provided by external tool)
SUBSYSTEM=="net", ACTION=="add", DRIVERS=="?*", ATTR{address}=="9c:a3:ba:zz:zz:zz", ATTR{type}=="1", KERNEL=="eth*", NAME="eth0"

# PCI device 0x8086:0x100e (e1000)
SUBSYSTEM=="net", ACTION=="add", DRIVERS=="?*", ATTR{address}=="9c:a3:ba:yy:yy:yy", ATTR{type}=="1", KERNEL=="eth*", NAME="eth2"

# PCI device 0x8086:0x100e (e1000)
SUBSYSTEM=="net", ACTION=="add", DRIVERS=="?*", ATTR{address}=="9c:a3:ba:xx:xx:xx", ATTR{type}=="1", KERNEL=="eth*", NAME="eth3"

◯ OK

[root@sakura ~]# vi /etc/udev/rules.d/70-persistent-net.rules 
# PCI device 0x8086:0x100e (e1000)
SUBSYSTEM=="net", ACTION=="add", DRIVERS=="?*", ATTR{address}=="9c:a3:ba:xx:xx:xx", ATTR{type}=="1", KERNEL=="eth*", NAME="eth0"

再起動

システムを再起動します。

[root@sakura ~]$ reboot

確認

通信が成功します。

[root@sakura ~]$ ping google.com -c 4
PING google.com (72.14.203.104) 56(84) bytes of data.
64 bytes from tx-in-f104.1e100.net (72.14.203.104): icmp_seq=1 ttl=54 time=51.0 ms
64 bytes from tx-in-f104.1e100.net (72.14.203.104): icmp_seq=2 ttl=54 time=51.3 ms
64 bytes from tx-in-f104.1e100.net (72.14.203.104): icmp_seq=3 ttl=54 time=51.3 ms
64 bytes from tx-in-f104.1e100.net (72.14.203.104): icmp_seq=4 ttl=54 time=50.6 ms

--- google.com ping statistics ---
4 packets transmitted, 4 received, 0% packet loss, time 3052ms
rtt min/avg/max/mdev = 50.669/51.102/51.339/0.270 ms

余談

9C-A3-BAのOUIはさくらインターネットのなんですね。

Twitter / 大久保 修一: MACアドレスを取得しました。 9C-A3-BA / SAKURA Internet Inc.

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11月 11

さくらのクラウドの料金が発表になり、相対的に他のクラウドサービスより安いと言われています。ところが、実際にAWSなどから置き換えるような用途を考えた場合に、今までの感覚でプランを選ぼうとすると、本当に安いのか疑問になる部分が出てきたので、シミュレーションをしながら考えてみました。

バランスが悪い?CPUがネック?

アプリケーションサーバーの用途などCPUパワーが必要なケースを考えます。
例えば、4コアは欲しいけどメモリは少なくてもいい場合、4コアの最低プランであるプラン7(メモリ16GB)を選択しないといけなくなります。これはAWSでいうCPUに重みを置いたc1.mediumインスタンスのようなプランがないためで、バランスが悪くオーバースペックになってしまいますし、価格も高めになります。

しかし、パフォーマンスは使われているサーバーのスペックやリソース配分が影響を与えるので、元々の能力が違う上でコア数の多寡だけを取り上げても判断材料にはなりません。

実際多くの方が、先行サービスのさくらのVPSとAWS(EC2)のベンチマークを行なっていて、結果は概ねさくらのVPSが優れているというものです。

また、EC2で定義されているECUというCPUの単位は、以下のようなものです。

特定のインスタンスに配分されている CPU 量は、これらの EC2 Compute Unit で明示されます。当社はいくつかのベンチマークとテストを使用して、EC2 Compute Unit のパフォーマンスの安定性と予測可能性を管理します。1つの EC2 Compute Unit は、1つの 1.0-1.2 GHz 2007 Opteron または 2007 Xeon プロセッサの CPU 能力に等しい能力を提供します。

c1.mediumインスタンス(5 ECU(2.5 ECU × 2仮想コア))の場合は2007 Opteronの2.5-3.0GHz × 2仮想コア相当のパフォーマンスだということになります。

この辺りを考慮にいれて、コア数に振り回されないように、実際のアプリケーションでテストを行って最適なプランを選ぶことになりそうです。
現段階では安いとも高いとも言えないところです。

メモリ特化の用途には安い!ではディスクは?

DBサーバーやキャッシュサーバーの用途などメモリが多く必要なケースを考えます。
例えばmemcachedサーバーの用途でメモリが8GBあればCPUもディスク容量も問わないケースだと、プラン5になりAWSのm1.largeインスタンスと比べて半額で済みます。

一方、m1.largeインスタンス並のディスク容量を追加しようとすると、プラン5+750GBで26,150円と高くなります。
これはAWSのディスクが安いとも言えるので、大容量のストレージが必要な場合はさくらのクラウドは安いとは言えないでしょう。

実際、DBサーバーの用途で8GBのメモリを積んだサーバーを運用する場合、850GBものデータを扱うことはパフォーマンスを考えるとありえないので、通常のケースでは問題にならないと思っています。

トラフィック特化の用途では?

大容量コンテンツの配信やストリーミングサービスだけでなく、単純にアクセス数が多いサービスだと転送量に対する課金が全体の半分くらいに達することもあります。
さくらのクラウドは転送量やリクエスト数に応じて従量課金されることがないので、トラフィックに関しては安いと言えます。

スペック・料金シミュレータ

上記を踏まえて、スペックと料金のシミュレータを作って見ました。
利用したいスペックを選択するとマッチする最低ラインのプランが決定されます。
利用したいスペックよりも表記上オーバースペックの場合、該当のスペックが赤くなります。
(※ 料金表記などに誤りがある場合もありますのでご了承の上、ご利用下さい。)

利用したいスペック

選択されたプラン
CPU
メモリ
ディスク
月額料金
日割料金

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11月 07

本日の第4回さくらの夕べで明らかになった情報のメモを整理します。
ほとんどの情報は明日のプレスリリースで公開される情報です。

リリース日

2011年11月15日 15:00に石狩データセンターがオープンし、そのタイミングでリリース予定とのこと。申込みページはこちら[さくらのクラウド] になる予定。

さくらのクラウド プラン別価格表

プラン名 CPU メモリ ディスク 月額料金 日割料金
プラン1 仮想1コア 2GB 20GB ¥2,500 ¥126
プラン2 仮想1コア 3GB ¥3,750 ¥189
プラン3 仮想2コア 4GB ¥5,200 ¥260
プラン4 仮想2コア 6GB ¥7,800 ¥390
プラン5 仮想3コア 8GB ¥10,400 ¥520
プラン6 仮想3コア 12GB ¥15,600 ¥780
プラン7 仮想4コア 16GB ¥20,800 ¥1,040
プラン8 仮想4コア 24GB ¥31,200 ¥1,560
プラン9 仮想6コア 32GB ¥41,500 ¥2,080
プラン10 仮想8コア 48GB ¥52,800 ¥2,640
プラン11 仮想10コア 64GB ¥64,000 ¥3,200
プラン12 仮想12コア 96GB ¥81,600 ¥4,080
プラン13 仮想12コア 128GB ¥96,000 ¥4,800

上記のプランをベースにローカルネットワークで通信をする場合は仮想スイッチ(¥5,250)、ストレージを増やしたい場合は容量に応じて追加料金でディスクを増やす料金体系。転送量は込み込みなので、転送量の多いサービスはAWSなどに比べてさらに料金が圧縮できる。
ベースの料金は1日〜20日までの利用は日割料金、それ以上の利用は月額料金で課金される。

ロケーション

さくらのクラウドのロケーションは新設の石狩データセンターになるので、在庫は潤沢(1,000台でも2,000台でも)。
東京や大阪などのリージョンも要望が多ければ考える予定。
クラウドとVPSや専用サーバーを同一の石狩データセンターで借りれば、レイテンシーが1ms以下で通信できるミクスチャー環境が構築できる。

その他気になったこと

SSD

ストレージとしてSSDやioDriveも選択できるようにする予定とのこと。手軽に利用できるようになれば、I/Oで頭を悩ませなくて済むようになりそう。

オートスケール

オートスケールは実装する予定はないとのこと。
クラウドをコントロールするAPIが用意されるので、サードパーティーが参入できる部分。

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