12月 09

image filterイメージ先週金曜日(12/2)にクックパッドインフラ勉強会に参加しまして、そこで同社の成田さんから「今日からできるApacheモジュール開発と運用」という発表がありました。
リアルタイム画像変換モジュールの「TOFU」を開発するに至った経緯と、Apacheモジュール開発についてのお話でした。

TOFUは、S3に置かれたマスターとなる画像ファイルを取得し、与えられたパラメータでリアルタイム(オンザフライ)にリサイズ・トリミングを行うモジュール(mod_tofu)です。

実際は、モジュールによる画像取得・変換をベースに、キャッシュや配信までも含めた一連の画像配信システムと言えそうです。

この仕組みをNginxを使って実装できないかと考えて、リアルタイム変換の仕組みをNginxだけで実現する方法を実験してみました。


準備するもの

HttpImageFilterModule

このモジュールはパッケージに同梱されているオプションモジュールの一つで、JPEG、GIF、PNGを変換するフィルターを提供します。
有効にするには、ビルド時にパラメータを指定する必要があります。

./configure --with-http_image_filter_module

ビルドし直したnginxの入れ替えを行う場合は、こちらを参考にしてください。

また、ビルドにはlibgdが必要なのでGDライブラリを別途インストールしておく必要があります

最も簡単な例

/imagesディレクトリにあるjpgファイルを全て150*150のサムネイルに変換したい場合は、以下の設定を書くだけです。

location ~ /images/.*\.jpg$ {
   image_filter  crop  150  150;
}

このままだと元サイズのファイルにアクセスできなかったり、エラー制御がしにくいのですが、このモジュールがいかに簡単に使えるかがわかると思います。

ローカルファイルで実験

前述の最も簡単な例を発展させて、外部からのパラメータに従って、まずはローカルディスクにある画像に対してリアルタイム変換をしてみます。

対象とするファイル

  • momiji.jpg
  • JPEGファイル
  • 1024×683 ピクセル
  • 274,661 バイト

外部からのパラメータ

  • width(幅)
  • height(高さ)
  • type(リサイズの方法)
    • resize(縦横比を変えずにサイズ変換)
    • crop(サイズ変換後に指定されたサイズに切り取る)
  • quality(JPEGの画質≒圧縮率)

要件

/imagesディレクトリにあるJPEGファイル(*.jpg)にパラメータを付けてアクセスをした時、パラメータに従って変換された画像を返す。

結果

以下のように、パラメータを変えるだけで欲しい画像サイズに変換されます。


/images/momiji.jpg?width=150&height=150&type=resize


/images/momiji.jpg?width=200&height=200&type=crop


/images/momiji.jpg?width=400&height=100&type=crop&quality=5

こちらのリンク先でパラメータをいろいろ変更してテストができます。お試し下さい。
http://nginx.labs.cloudrop.jp/images/momiji.jpg?width=150&height=150

設定方法

処理の流れ(ローカル)

  1. /images でパラメータの有無をチェックします。なければ通常の画像を返すようにしています。(何もしない)
  2. パラメータがあれば /image_filter へリライトされ、パラメータから変数に代入し、$arg_typeを元に /resize か /corp へリライトします。
  3. /reize /crop でそれぞれ処理をし、変換された画像が返されます。

※ ImageFilterが処理できない場合は415エラーが発生するので、それを1*1pxの透過GIFに置き換えています。

設定ファイル

location ~ /images/.*\.jpg$ {
    if ($query_string ~ .*=.*) {
      rewrite ^/images/(.*\.jpg)$ /image_filter/$1 last;
    }
}

location ~ ^/image_filter/(.*\.jpg)$ {
    internal;

    set $file $1;
    set $width 150;
    set $height 150;
    set $quality 75;

    if ($arg_width ~ (\d*)) {
        set $width $1;
    }
    if ($arg_height ~ (\d*)) {
        set $height $1;
    }
    if ($arg_quality ~ (100|[1-9][0-9]|[1-9])) {
        set $quality $1;
    }

    if ($arg_type = "resize") {
        rewrite ^ /resize last;
    }
  
    rewrite ^ /crop last;
}

location /resize {
    internal;
    rewrite ^ /images/$file break;
    image_filter  resize  $width $height;
    image_filter_jpeg_quality $quality;
    error_page 415 = @empty;
}

location /crop {
    internal;
    rewrite ^ /images/$file break;
    image_filter  crop  $width $height;
    image_filter_jpeg_quality $quality;
    error_page 415 = @empty;
}

location @empty {
    empty_gif;
}

パフォーマンス

ローカル&no cache(req/s)グラフ

ab(ApacheBench)で100リクエストを並列で一度に送り、1秒あたりのリクエスト処理数を5回測定した平均値。クライアントとサーバーは別でインターネットを経由して測定。

ローカルでの処理なのでネットワークのボトルネックはありません。一方、キャッシュを利用していないので、リクエストごとに変換処理が動くことになります。
無変換を基準に考えると、サイズが大きめの画像へのリサイズは時間がかかりますが、小さくなるに従って無変換よりもパフォーマンスが上がります。
変換に処理時間がかかるものの、Webで利用するサムネイル程度のサイズにすれば十分実用的な速度だと思います。

S3経由で実験

今度はTOFUの仕様に近づくべく、S3(リモートサーバー)にあるファイルを取得するようにします。
実験のサーバーは「さくらのVPS512」でS3は「USスタンダードリージョン」です。ネットワークのレイテンシは150ms程です。

対象とするファイル

  • sanzaru.jpg
  • US Standard リージョン
  • JPEGファイル
  • 1024×683 ピクセル
  • 194,728 バイト

外部からのパラメータ(ローカルと同じ)

  • width(幅)
  • height(高さ)
  • type(リサイズの方法)
    • resize(縦横比を変えずにサイズ変換)
    • crop(サイズ変換後に指定されたサイズに切り取る)
  • quality(JPEGの画質≒圧縮率)

要件

JPEGファイル(*.jpg)にパラメータを付けてアクセスをした時、S3上にある同名ファイルを取得し、パラメータに従って変換された画像を返す。
変換した画像はキャシュし、2回目以降はキャッシュを利用する。

結果


/s3images/sanzaru.jpg?width=150&height=150&type=resize


/s3images/sanzaru.jpg?width=200&height=200&type=crop


/s3images/sanzaru.jpg?width=400&height=100&type=crop&quality=5

こちらのリンク先でパラメータをいろいろ変更してテストができます。お試し下さい。
http://nginx.labs.cloudrop.jp/s3images/sanzaru.jpg?width=200&height=200&type=crop

設定方法

処理の流れ(S3)

  1. 80番ポートで待ち受ける/s3images で8080番ポートで動くバックエンドの/s3images へリクエストをそのまま渡します。
  2. 8080番ポートの/s3imagesでパラメータから変数に代入し、$arg_typeを元に/s3_resize か/s3_corp へ、パラメータがなければ/s3_original へリライトします。
  3. /s3_resize /s3_crop /s3_originalでそれぞれS3からファイルを取得・変換処理をし、画像を80番ポートのフロントエンドへ返します。
  4. 80番ポートのフロントエンドはバックエンドから返ってきたレスポンスをキャッシュし、画像を返します。以降、すでにキャッシュ済みリクエストだった場合は、バックエンドへ送らず、キャッシュを返します。

設定ファイル

server {
    listen 80;
    server_name localhost;
    root /var/www/html;

    location /s3images {
        proxy_pass http://localhost:8080;
        proxy_cache s3cache;
        proxy_cache_key $scheme$host$uri$arg_width$arg_height$arg_type$arg_quality;
        proxy_cache_valid  200 60m;
    }
}

server {
    listen 8080;
    server_name localhost;
    root /var/www/html;

    access_log logs/proxy_access.log;
    access_log logs/error_access.log;

    resolver 8.8.8.8;

    location ~ /s3images/(.*\.jpg)$ {

        set $s3host MY_S3_HOST;
        set $file $1;
        set $width 150;
        set $height 150;
        set $quality 75;

        if ($query_string !~ .*=.*) {
          rewrite ^ /s3_original last;
        }

        if ($arg_width ~ (\d*)) {
            set $width $1;
        }
        if ($arg_height ~ (\d*)) {
            set $height $1;
        }
        if ($arg_quality ~ (100|[1-9][0-9]|[1-9])) {
            set $quality $1;
        }

        if ($arg_type = "resize") {
            rewrite ^ /s3_resize last;
        }

        rewrite ^ /s3_crop last;
    }

    location /s3_original {
        internal;
        proxy_pass http://$s3host/$file;
    }

    location /s3_resize {
        internal;
        proxy_pass http://$s3host/$file;
        image_filter  resize  $width  $height;
        image_filter_jpeg_quality  $quality;
        error_page 415 = @empty;
    }

    location /s3_crop {
        internal;
        proxy_pass http://$s3host/$file;
        image_filter  crop  $width  $height;
        image_filter_jpeg_quality  $quality;
        error_page 415 = @empty;
    }

    location @empty {
        empty_gif;
    }
}

8080ポート側にresolverの設定が入っています。NginxはOS標準の名前解決方法を利用してくれないため、ネームサーバーをresolverに設定する必要があります。
ここではGoogle Public DNSが設定されていますが、利用するサーバーの最寄り(通常同じDC内)のネームサーバーを指定します。

パフォーマンス

S3経由&cache(req/s)グラフ

ab(ApacheBench)で100リクエストを並列で一度に送り、1秒あたりのリクエスト処理数を5回測定した平均値。クライアントとサーバーは別でインターネットを経由して測定。

S3からファイルを取得する処理を含めると、ネットワークのボトルネックがあり、1リクエスト2秒程度かかります。それを含めてしまうと、ネットワークに引きずられて正確な値がでないので、キャッシュに対して測定しています。

キャッシュからの応答になるので、純粋にファイルサイズの大きさに比例していきます。マスターの画像が変更されないことがわかっている場合、もしくは、変更があった場合にハッシュ値などを使ってキャッシュを書き換えるなどすると、実用的な速度で利用できることがわかります。

まとめ

細かい設定(例えば、左上から右へ10px下へ20pxを起点に切り取るなど)はできませんし、pngからjpgなどのフォーマット変換もできないので、多くの機能を望む場合は、他のプログラムを利用するか、Nginxモジュールを書く事になると思います。

とは言っても、モジュールをインストールして、設定を書くだけで利用できるので、プロトタイプ開発の用途には使えますし、リモートサーバーのファイル自体をキャッシュしたり、Proxy Cacheを適切に設定したり、多段にキャッシュを用意したりすれば、用途に限りがありますが、プロダクションでも使えると思います。

Nginxモジュール開発の参考

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5月 23

はじめに

nginxは頻繁に保守されていてどんどんバージョンが上がっていく一方で、UbuntuやWindows以外ではソースコードからビルドする方法が一般的だと思います。

nginxのバージョンアップ頻度

  • 2011/05/10 1.0.2
  • 2011/05/03 1.0.1
  • 2011/04/12 1.0.0
  • 2011/04/04 0.9.7
  • 2011/03/21 0.9.6

nginx CHANGESより

LinuxやBSDの多くのディストリビューションではNginxがパッケージリポジトリに含まれており、通常のソフトウェアインストール手法でインストールする事ができます。(Debianにおけるapt-getや、Gentooにおけるemerge、FreeBSDにおけるports、Fedora の yum、Vine Linux の apt-get など)

たまにこれらのパッケージは古いものであったりすることがあるので気をつけてください。最新の機能やバグ修正版を求めるなら、ソースコードからビルドすることをお勧めします。…
http://wiki.nginx.org/InstallJaより

上記のようにどのディストリビューションでもパッケージは用意されているものの、バージョンが古いことが多いですし、何よりも各機能を追加するモジュールがApache(httpd)と違ってスタティックな方式を採用しているので、用途に合わせてモジュールを追加したい場合は自分でビルドするしかありません。

そうすると、自分でバイナリを上書きしてアップグレードすることになります。
メンテナンス時間を設けてサービスを止めて保守出来る場合はいいですが、積極的に止めることは避けたいサービスの場合、以下の方法でリクエストを止めることなくアップグレードができます。

オン・ザ・フライで新しいバイナリにアップグレードする

今回は、nginx0.7.67を最新版(1.0.2 2011/5/23現在)にアップグレードした時の手順の確認と結果の検証を行いました。

準備

現在稼動しているバージョンのビルドオプションを確認する

-Vオプションで確認することが出来ます。

$ /usr/local/nginx/sbin/nginx -V
nginx version: nginx/0.7.67
built by gcc 4.1.2 20080704 (Red Hat 4.1.2-48)
TLS SNI support disabled
configure arguments: --with-http_stub_status_module --with-http_ssl_module

configure argumentsがオプション部分です。
サードパーティ製のモジュールを入れている場合(–add-module)は、そのモジュールが新しいバージョンのnginxに対応しているか、対応しているモジュールのバージョンがリリースされていないか、確認する必要があります。

最新バージョンをビルドする

先ほど確認したビルドオプションで新しいバージョンをビルドします。

$ wget http://nginx.org/download/nginx-1.0.2.tar.gz
$ tar vfxz nginx-1.0.2.tar.gz 
$ cd nginx-1.0.2

# ここで先のオプションを使う
$ ./configure --with-http_stub_status_module --with-http_ssl_module
$ make

# 成功すると./objs 以下に新しいバイナリが出来上がるので確認
$ ./objs/nginx -V
nginx: nginx version: nginx/1.0.2
nginx: built by gcc 4.1.2 20080704 (Red Hat 4.1.2-50)
nginx: TLS SNI support disabled
nginx: configure arguments: --with-http_stub_status_module --with-http_ssl_module

現行の設定ファイルのままで問題がないか確認する

仕様の変更などで利用できなくなるディレクティブなどがあるかもしれません。現行の設定ファイルでconfig testが通るかチェックします。

$ sudo ./objs/nginx -t -c /usr/local/nginx/conf/nginx.conf
nginx: the configuration file /usr/local/nginx/conf/nginx.conf syntax is ok
nginx: configuration file /usr/local/nginx/conf/nginx.conf test is successful

アップグレード

バイナリをコピーする

単純にコピーnginxファイルを上書きするか、make installで上書きします。

$ sudo cp objs/nginx /usr/local/nginx/sbin/nginx

or

$ sudo make install

プロセスを確認する

いよいよ本題です。現在動いているnginxのマスタープロセスのpidを確認します。

psコマンド確認する方法
$ ps aux |grep nginx
root      5559  0.0  0.0  40976  1000 ?        Ss   16:36   0:00 nginx: master process /usr/local/nginx/sbin/nginx -c /usr/local/nginx/conf/nginx.conf
nginx     5560  0.0  0.2  42572  3052 ?        S    16:36   0:00 nginx: worker process                                          
nginx     5561  0.0  0.2  42572  3044 ?        S    16:36   0:00 nginx: worker process                                          
nginx     5562  0.0  0.2  42572  2992 ?        S    16:36   0:00 nginx: worker process                                          
nginx     5564  0.0  0.2  42572  2940 ?        S    16:36   0:00 nginx: worker process  
pidファイルで確認する方法

nginx.confにpidディレクティブを設定している場合は設定したパスにpidファイルがあります。

$ cat /var/run/nginx.pid;
5559

pidは5559です。
ワーカープロセス数は、confファイル"worker_processes"の設定に依存します。

新しいバイナリを実行する(USR2シグナル)

USR2シグナルをマスタープロセスに送ります。

$ sudo kill -USR2 5559

すると、古いバージョンのプロセスと新しいバージョンのプロセスが共存する状態になります。

$ ps aux |grep nginx
root      5559  0.0  0.0  40976  1068 ?        Ss   16:36   0:00 nginx: master process /usr/local/nginx/sbin/nginx -c /usr/local/nginx/conf/nginx.conf
nginx     5560  0.0  0.2  42572  3052 ?        S    16:36   0:00 nginx: worker process                                          
nginx     5561  0.0  0.2  42572  3044 ?        S    16:36   0:00 nginx: worker process                                          
nginx     5562  0.0  0.2  42572  2992 ?        S    16:36   0:00 nginx: worker process                                          
nginx     5564  0.0  0.2  42572  2940 ?        S    16:36   0:00 nginx: worker process                                          
root      7962  2.0  0.2  41024  3084 ?        S    19:29   0:00 nginx: master process /usr/local/nginx/sbin/nginx -c /usr/local/nginx/conf/nginx.conf
nginx     7963  0.0  0.2  42732  3060 ?        S    19:29   0:00 nginx: worker process                                          
nginx     7964  0.0  0.2  42732  2860 ?        S    19:29   0:00 nginx: worker process                                          
nginx     7965  0.0  0.2  42732  2860 ?        S    19:29   0:00 nginx: worker process                                          
nginx     7966  0.0  0.2  42732  2852 ?        S    19:29   0:00 nginx: worker process 

古いバージョンのワーカーを止める(WINCHシグナル)

WINCHシグナルを古いマスタープロセスに送ります。

$ sudo kill -WINCH 5559

すると、既に受け持っているリクエストの処理が終わり次第、古いワーカープロセスが順次終了していきます。古いプロセスはマスタープロセスだけになり、リクエストは新しいワーカープロセスが受け持っています。

ps aux |grep nginx
root      5559  0.0  0.0  40976  1072 ?        Ss   16:36   0:00 nginx: master process /usr/local/nginx/sbin/nginx -c /usr/local/nginx/conf/nginx.conf
root      7962  0.0  0.2  41024  3084 ?        S    19:29   0:00 nginx: master process /usr/local/nginx/sbin/nginx -c /usr/local/nginx/conf/nginx.conf
nginx     7963  0.0  0.2  42732  3060 ?        S    19:29   0:00 nginx: worker process                                          
nginx     7964  0.0  0.2  42732  2860 ?        S    19:29   0:00 nginx: worker process                                          
nginx     7965  0.0  0.2  42732  2860 ?        S    19:29   0:00 nginx: worker process                                          
nginx     7966  0.0  0.2  42732  2852 ?        S    19:29   0:00 nginx: worker process  

古いバージョンのマスタープロセスを止める(QUITシグナル)

QUITシグナルを古いマスタープロセスに送ります。

$ sudo kill -QUIT 5559

古いマスタープロセスが終了し、新しいマスタープロセスとワーカープロセスだけになりました。

$ ps aux |grep nginx
root      7962  0.0  0.2  41024  3084 ?        S    19:29   0:00 nginx: master process /usr/local/nginx/sbin/nginx -c /usr/local/nginx/conf/nginx.conf
nginx     7963  0.0  0.2  42732  3060 ?        S    19:29   0:00 nginx: worker process                                          
nginx     7964  0.0  0.2  42732  2860 ?        S    19:29   0:00 nginx: worker process                                          
nginx     7965  0.0  0.2  42732  2860 ?        S    19:29   0:00 nginx: worker process                                          
nginx     7966  0.0  0.2  42732  2852 ?        S    19:29   0:00 nginx: worker process 

検証

検証方法

http_loadを使ってドキュメントルートに置いたテキストファイルをアップグレード作業中にクライアントから毎秒10リクエスト行う。

結果

作業中の2分間、1199リクエストが全て正常に終了したので、問題なくアップグレードができたと思われます。

./http_load -rate 10 -seconds 120  -verbose url_file
--- 60.0062 secs, 600 fetches started, 599 completed, 1 current
--- 120.006 secs, 1200 fetches started, 1199 completed, 1 current
1199 fetches, 1 max parallel, 3597 bytes, in 120.006 seconds
3 mean bytes/connection
9.99115 fetches/sec, 29.9735 bytes/sec
msecs/connect: 0.417418 mean, 0.717 max, 0.248 min
msecs/first-response: 0.353556 mean, 0.605 max, 0.253 min
HTTP response codes:
  code 200 -- 1199
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2月 07

Osukini Cloudとは

クラウドサービス「Osukini クラウド」|クラウドならSaaSes

Osukini Cloudは日本ラッドが提供するSaas/Paasサービスのブランド「SaaSes」の1商品です。
Cloudと銘打ってはいるものの、サーバーのスナップショットイメージを保存して再利用したり、稼働済みのサーバーのクローンを立ち上げたりする、スケールアウト向けの機能はありません。

簡単に言うと、CPU・メモリ・ハードディスクを動的にスケールアップ・ダウンできる機能が付いたXenベースのVPSサービスです。
仮想サーバーの仕組みをそのままサービスにしたイメージです。

Osukini Cloudの使いどころ

上述のように急激なアクセス増が予想されるスケールアウト必至のサービスには向いていないので、使いどころとしては

  • 当面は低スペックで構わないが後々のアクセス増対応に不安
  • 既存の格安VPSでどのプランで契約していいかわからない

ようなケースが当てはまるかもしれません。

さくらのVPSが価格の割に品質がよく、満足できるVPSサービスだと思いますが、現時点でスペックが固定なので、もう少し高スペックで同様に低価格なサービスを探している方にはOsukini Cloudはおすすめだと思います。

スペックと価格

一般的なVPSサービスのようにプランごとにスペックが決まるのではなく、1プランでスペック変更が可能というところが特徴ですので、最低スペックで始めて運用しながら随時変更することができます。(スケールアップ・ダウンには再起動・サービスダウンが伴うようです。)

料金とスペックをまとめると以下のようになります。(全て月額)

  1CPU+1GB 2CPU+2GB 3CPU+3GB 4CPU+4GB
80GB ¥1,000 ¥2,200 ¥3,800 ¥5,800
160GB ¥1,900 ¥3,100 ¥4,700 ¥6,700
240GB ¥2,800 ¥4,000 ¥5,600 ¥7,600
320GB ¥3,700 ¥4,900 ¥6,500 ¥8,500

CPUとメモリは連動で、4×4の16パターンの料金体系があり、月途中でスペックを変更した場合は、その月で最もハイスペックだった料金が請求される仕組みです。
転送量に対する課金もありませんし、稼働時間に対する課金もありませんので、料金が非常に明確になります。

利用可能なOSは以下の通りです。

  • CentOS ver5.5 32bit
  • CentOS ver5.5 64bit
  • Ubuntu ver10.04 32bit
  • Debian ver5.0(lenny) 32bit
  • Debian ver5.0(lenny) 64bit
  • Debian ver6.0(squeeze) 32bit
  • Debian ver6.0(squeeze) 64bit

実際に使ってみて

現在、4CPU/4GB+80GB(¥5,800)、CentOS5.5 64bitのサーバーを3台契約しています。
ホームページ上では最短5分以内でスタートできると書いてありますが、1台目を契約した際は在庫がないとのことで、サービスの利用開始まで丸1日かかり、2台目・3台目は14、5分でした。必ずしも契約後すぐに利用できるわけではないので、注意が必要です。

参考までに、サーバーの基本的なスペック情報は以下の通りです。

システム情報

$ uname -a
Linux hostname 2.6.18-194.32.1.el5xen #1 SMP Wed Jan 5 18:44:24 EST 2011 x86_64 x86_64 x86_64 GNU/Linux

CPU情報

$ cat /proc/cpuinfo
processor	: 0
vendor_id	: AuthenticAMD
cpu family	: 16
model		: 9
model name	: AMD Opteron(tm) Processor 6128
stepping	: 1
cpu MHz		: 2000.154
cache size	: 512 KB
physical id	: 0
siblings	: 1
core id		: 0
cpu cores	: 1
fpu		: yes
fpu_exception	: yes
cpuid level	: 5
wp		: yes
flags		: fpu tsc msr pae mce cx8 apic mca cmov pat pse36 clflush mmx fxsr sse sse2 ht syscall nx mmxext fxsr_opt lm 3dnowext 3dnow constant_tsc pni monitor cx16 popcnt lahf_lm cmp_legacy svm cr8_legacy abm sse4a misalignsse
bogomips	: 5003.13
TLB size	: 1024 4K pages
clflush size	: 64
cache_alignment	: 64
address sizes	: 48 bits physical, 48 bits virtual
power management: ts ttp tm stc [6] [7] [8]

processor	: 1
vendor_id	: AuthenticAMD
cpu family	: 16
model		: 9
model name	: AMD Opteron(tm) Processor 6128
stepping	: 1
cpu MHz		: 2000.154
cache size	: 512 KB
physical id	: 1
siblings	: 1
core id		: 0
cpu cores	: 1
fpu		: yes
fpu_exception	: yes
cpuid level	: 5
wp		: yes
flags		: fpu tsc msr pae mce cx8 apic mca cmov pat pse36 clflush mmx fxsr sse sse2 ht syscall nx mmxext fxsr_opt lm 3dnowext 3dnow constant_tsc pni monitor cx16 popcnt lahf_lm cmp_legacy svm cr8_legacy abm sse4a misalignsse
bogomips	: 5003.13
TLB size	: 1024 4K pages
clflush size	: 64
cache_alignment	: 64
address sizes	: 48 bits physical, 48 bits virtual
power management: ts ttp tm stc [6] [7] [8]

processor	: 2
vendor_id	: AuthenticAMD
cpu family	: 16
model		: 9
model name	: AMD Opteron(tm) Processor 6128
stepping	: 1
cpu MHz		: 2000.154
cache size	: 512 KB
physical id	: 2
siblings	: 1
core id		: 0
cpu cores	: 1
fpu		: yes
fpu_exception	: yes
cpuid level	: 5
wp		: yes
flags		: fpu tsc msr pae mce cx8 apic mca cmov pat pse36 clflush mmx fxsr sse sse2 ht syscall nx mmxext fxsr_opt lm 3dnowext 3dnow constant_tsc pni monitor cx16 popcnt lahf_lm cmp_legacy svm cr8_legacy abm sse4a misalignsse
bogomips	: 5003.13
TLB size	: 1024 4K pages
clflush size	: 64
cache_alignment	: 64
address sizes	: 48 bits physical, 48 bits virtual
power management: ts ttp tm stc [6] [7] [8]

processor	: 3
vendor_id	: AuthenticAMD
cpu family	: 16
model		: 9
model name	: AMD Opteron(tm) Processor 6128
stepping	: 1
cpu MHz		: 2000.154
cache size	: 512 KB
physical id	: 3
siblings	: 1
core id		: 0
cpu cores	: 1
fpu		: yes
fpu_exception	: yes
cpuid level	: 5
wp		: yes
flags		: fpu tsc msr pae mce cx8 apic mca cmov pat pse36 clflush mmx fxsr sse sse2 ht syscall nx mmxext fxsr_opt lm 3dnowext 3dnow constant_tsc pni monitor cx16 popcnt lahf_lm cmp_legacy svm cr8_legacy abm sse4a misalignsse
bogomips	: 5003.13
TLB size	: 1024 4K pages
clflush size	: 64
cache_alignment	: 64
address sizes	: 48 bits physical, 48 bits virtual
power management: ts ttp tm stc [6] [7] [8]

メモリ情報

$ cat /proc/meminfo
MemTotal:      4194304 kB
MemFree:         67556 kB
Buffers:         59036 kB
Cached:        3588160 kB
SwapCached:          0 kB
Active:        2048284 kB
Inactive:      1838268 kB
HighTotal:           0 kB
HighFree:            0 kB
LowTotal:      4194304 kB
LowFree:         67556 kB
SwapTotal:     8393952 kB
SwapFree:      8393880 kB
Dirty:            1064 kB
Writeback:           0 kB
AnonPages:      239332 kB
Mapped:          11304 kB
Slab:           115088 kB
PageTables:       8744 kB
NFS_Unstable:        0 kB
Bounce:              0 kB
CommitLimit:  10491104 kB
Committed_AS:   332088 kB
VmallocTotal: 34359738367 kB
VmallocUsed:      4340 kB
VmallocChunk: 34359734027 kB

ディスク性能(Read)

$ sudo hdparm -Tt /dev/xvda3

/dev/xvda3:
 Timing cached reads:   9604 MB in  1.99 seconds = 4818.05 MB/sec
 Timing buffered disk reads:  340 MB in  3.01 seconds = 113.05 MB/sec

ディスク性能(Write)

$ dd if=/dev/zero of=/tmp/test.tmp bs=1M count=256
256+0 records in
256+0 records out
268435456 bytes (268 MB) copied, 0.63945 seconds, 420 MB/s

$ dd if=/dev/zero of=/tmp/test.tmp bs=1M count=1024
1024+0 records in
1024+0 records out
1073741824 bytes (1.1 GB) copied, 2.70829 seconds, 396 MB/s

最後に

運用して1週間程立ちましたが、スペック通り十分なパフォーマンスを安定して発揮してくれています。リプレース元のサーバーでは転送量課金もかかっていたので、だいぶコストを圧縮することが出来ました。

格安VPSではスペックがネックになって利用シーンが限られていたと思いますが、Osukini Cloudはスペックの自由度が高いので、格安VPSと専用サーバーの間の領域を柔軟にカバーしてくれる数少ない優れたVPSサービスだと思います。

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